「捨てる」

テレビの取材を何度か受けた。最初はけっこう緊張したけど、何度か取材を受けると、慣れてくるんだね。だから、ディレクターの人やカメラマンが、どんな映像をほしがっているかもある程度わかっちゃう。
こうなると、なんか刺激がなくて、おもしろくないんだよね。でも、ぼくらにとっては大事な広報活動のひとつ。だから、おろそかにできない。

ある日、幼稚園に絵本を読みに行ったときも、テレビの取材が入っていた。
カメラマンの動きを見ていると、だいたいどんな映像を撮ろうとしているのかがわかる。同時に子どもたちの顔を見ていると、みんなワクワクしている。「しんちゃん、今日は何をやらかしてくれるの?」というような目。

そこで、ぼくは、大事な広報活動を無視することにした。たとえば、ぼくが子どもたちと掛け合いをしていると、その子どもたちの表情を撮りたくて、カメラがぼくの横の方に来る。ぼくは咄嗟にカメラを指さして「これ、なんやと思う?」と。子どもたちは全員カメラ目線。ことあるごとに、そんなことを繰り返していた。また、子どもたちとの話の内容は、うんこやおしっこなどの話題ばかりを連発。ぼくの中には、テレビ局の人を困らせてやろう、という気持ちでいっぱい。

結果、ぼくも子どもたちも大喜び。しかも気持ちがいいんだ。
そのときに、わかったことがある。

「捨てる」って、いいなあ、と。

いろんなものをためておくから、心ってしんどくなるんだろうな、きっと。
うまくやろうという気持ち、次の仕事につなげようという気持ち、み〜んな捨ててしまえ!
そして、捨てても捨てても、残るものがあるような気がする。そんなものに出合ってみたいなあ。

ただ、「捨てなきゃ」という気持ちを捨てきれていないぼくは、まだまだだなあ。

 (2006年7月23日)